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クリスマスを待つだけじゃない。アドベントが教えてくれる、人生を豊かにする3つの視点

12月が始まると、街は一気にクリスマスムードに包まれます。しかし、多くの人にとってこの時期は、プレゼントの準備や年末の仕事に追われる「慌ただしい」季節かもしれません。クリスマスは、いつしか商業的なイベントや年中行事の一つになりがちです。

ですが、もしクリスマスまでの「待つ」時間そのものに、私たちの人生を豊かにする深い知恵が隠されているとしたらどうでしょうか。キリスト教の暦で「アドベント」と呼ばれるこの期間は、単なるカウントダウンではありません。それは、私たちの日常を見つめ直し、より深い喜びを見出すための、静かで特別な時間なのです。

1. アドベントの本質:「過去への感謝」と「未来への期待」を同時に見つめること

アドベントの本質は、単にクリスマスの到来を待つことではありません。それは、主の前に静まり、二つの異なる時間軸に思いを巡らせる特別な期間です。その二つとは「感謝」と「期待」です。

  • 過去への感謝: まず、私たちは過去に向けた感謝を捧げます。これは、イエス・キリストが初めてこの世に来られたこと(初臨)への感謝です。この出来事は、イザヤ書によれば約700年も前から預言されていましたが、もっと言えば、創世記の初めから約束されていた壮大な計画の成就でした。神が遠い昔の約束を誠実に覚えていてくださり、時が満ちて実現してくださった。その事実に対する深い感謝が、アドベントの第一の柱です。
  • 未来への期待: 次に、私たちは未来に向けた期待を抱きます。聖書は、イエスが再び来られること(再臨)を約束しています。いつになるかは分かりませんが、その日は必ずやって来るとされています。アドベントは、かつて救い主の到来を切に待ち望んだ人々の思いに心を重ね、約束通り再び来られるイエスを待ち望む期間なのです。

この二重の視点は非常に力強いものです。それは、私たちを「約束は必ず果たされる」という過去の事実に根付かせ、同時に「未来には確かな希望がある」という確信を与えてくれます。

2. 「待つ」ことは不安じゃない。確かな希望に支えられた「恵みの時間」である

過去への揺るぎない感謝と、未来への確かな期待。この二つの視点は、「待つ」という行為そのものの意味を根底から変えてしまいます。

私たちの日常において、「待つ」という行為はしばしば不安や虚しさを伴います。役所の窓口で3時間近く待った末に「まだ分かりません」という一言で終わってしまったら、その時間は報われないものに感じられるでしょう。来るか来ないか分からないものを待つのは、苦痛ですらあります。

しかし、アドベントにおける「待つ」は全く異なります。それは、必ず来ることが分かっている方を待つ時間だからです。この「主を待ち望む信仰」が「恵みの信仰」と呼ばれるのは、まさにそのためです。その待ち時間には不安や虚しさがなく、純粋な希望に満ちています。

この確実性は、私たちの努力や状況によるものではなく、神ご自身の性格に基づいています。それは、主の熱心、主の愛、主の誠実、そして主の忍耐によって必ず成し遂げられるという約束です。預言者イザヤは、この圧倒的な確信を次のような言葉で表現しました。

万軍の主の熱意がこれを成し遂げる

これは、人間の罪や不誠実さ、あらゆる妨害でさえも、神の計画を止めることはできない、という力強い宣言です。この視点に立つとき、「待つ」という行為は、受動的で苛立たしい時間から、恵みに満ちた積極的な準備の時間へと変わるのです。

3. 私たちは「すでに」と「いまだ」の間に生きている

アドベントが教えてくれる最も深く、実践的な視点が、私たちが「すでに(already)」と「いまだ(not yet)」の間に生きているという認識です。これは、現代を生きる私たちの立ち位置と使命を理解するための鍵となります。

  • 「すでに(already)」: イエスの最初の到来によって、神の国はすでにこの地上で始まっています。それは、まるで少量のパン種が、はるかに多い量である40kgもの小麦粉全体をゆっくりと変え、膨らませていくようなものです。神の国は目に見えない形で、しかし確実にこの世界に浸透し、影響を与え始めています。教会のような場所は、この「すでに」実現した神の国のかけらを体験できる空間です。
  • 「いまだ(not yet)」: 同時に、私たちは世界にいまだ闇や悪が存在することも知っています。争いや不正はなくならず、神の国はまだ完全には実現していません。

私たちは、この「すでに」と「いまだ」の緊張関係の中に生きています。そして、このユニークな立ち位置から生まれるのが私たちの「使命」です。それは、ただ受動的に再臨を待つことでも、この世の闇から逃げることでもありません。

私たちの使命は、すでに始まった神の国を、さらに広げていく働きに参加することです。自分が遣わされた場所で主の光を照らし、平和を実現していくこと。世の闇に同調するのではなく、むしろこの世の闇と戦って希望の担い手となること。これこそが、「すでに」と「いまだ」の間に生きる私たちに与えられた、積極的な役割なのです。

最後に

アドベントは、私たちに「待つこと」に関する3つの驚くべき視点を与えてくれます。それは、過去への感謝と未来への期待を同時に見つめること。不安ではなく恵みとして「待つ」こと。そして、「すでに」と「いまだ」の間で、神の国の担い手として生きるという使命です。

このアドベントの期間、私たちはただクリスマスを待つだけでなく、どんな希望を未来に見出し、今をどう生きていくでしょうか?

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